もちろんそれもあるが、

和也たちにとって一番の心配事はやはり車を運転してしまった父が事故を起こしてしまう事であった。

「お前たちが心配してくれるのはありがたいと思うよ、でも俺たちはこの土地を離れたくないんだ、代々守り抜いてきたこの家を手放したくないんだよ」

 この時和也の支援に回ったのは和義にとってまさかの人物であった。

「待ってお父さん、あたしは和也たちの提案に乗ってもいいと思っているわ」

 思いもしなかった幸代の言葉に、和義は驚く事しか出来なかった。

「何を言い出すんだかあさんまで、お前までこの土地を捨てろと言うのか? かあさんだってこの土地で生まれ育ったんだ、それなのに生まれ育った土地を捨てることができるのか?」

「この土地を捨てるって言ったら語弊(ごへい)があるけど、あたしはここを離れてもいいと思ってる。だってそうじゃない、さっき和也からもあったようにこの辺りも災害危険区域に指定されてしまってからは過疎化(かそか)に拍車がかかってしまったわ、ご近所さんもほとんど引っ越してしまったじゃない」

「確かにそうだが……」

 ここで和也が最後のひと押しとばかりに語り始めた。