手間を惜しむことは嫌いだった。なんでも全力を出したかった。
ファンの人に失礼だから。
死ぬ間際も、私は尽力したつもりだった。
けれどその手段を選ぶときは、「もういいや」と、半ば投げやりだった。
もっときちんと死亡例や、その具体例を調べておけば良かったと思う。そうすれば失敗しなかった。
ただただ、それがよくなかった。
要するに私の自殺は不完全に終わったのだ。何故なら──、
「まだ若いのに……」
そう呟く男性医師の隣に立つ。私は今、病院へと緊急搬送され治療を受けた末に、ベッドで横になりこんこんと眠る私を見下ろしていた。