よく狂気にふれた人間を殴って正気に戻すシーンがあるけれど、アスファルトの天井にぶつけたところで私の頭はよくならない。もちろん心もだ。
大通りに面していて、デリバリーや配達員が行き交い最悪巻き込む。さらに写真に撮られ、自分の死体がネットに出回るところを想像して、取りやめとなった。
結局、自分の部屋しかない。
息を吐いて、私は刃物を手に取った。かまってちゃんの自傷行為なんて言われる方法だけれど、脈を狙えば大丈夫なはず。私は最も具合がよさそうなところを狙って刃物をあてた。
目を閉じて、最後に出たライブの写真を使いながら「若手アイドル 自殺」とテロップ付きで流れるところを夢想する。
よし、早く死のう。だってこれ以上生きているのは無理だから。