司会者が背にしていたフリップが一気に変わり、私の顔とともに『大炎上中! 果崎(はてさき)あかり! アイドルの水面下での戦い! 同期を引きずり落とした黒幕の手口』と出たところで、私はテレビを消した。

 ぷつりと音がして、画面が一気に真っ黒になる。

 液晶にリモコンを投げつけようとして、なんとなく出来ずにリモコンをベッドに放り、私は部屋を後にした。

 はじめは飛び降りにしようかと思ったけど、だめだった。

 マンションの非常口を上って、照り付けるどころか焼き付けるほど熱い日差しに四苦八苦しながら手すりに足をかけ、柵をよじのぼったところまでは良かった。

 けれど、低めに設定された天井に頭をうちつけながら見た景色は存外低く、この世界に死ぬのに都合のいい場所なんてないんじゃないかと絶望した。