手を伸ばしてから掴めないことに気付いたものの、指先から感じるほっそりと骨ばった皮膚の感触は確かで、私はつい動きを止めた。
触れた。
びっくりしたのも束の間、男の背後にこちらへやってくる警備員のおじさんたちの姿が見えた。私は彼の腕を掴んだまま、病院の外へ引っ張っていく。
「な、なに、なんで おおおお俺の手を!? えっ嘘っこれ、ど、ドッキリとか!?」
警備員に追われているというのに、彼はのんきに私の腕を引かれているだけだ。
私はそのまま病院の入り口まで向かおうとして、玄関ホールのそばにカメラやスマホ、レコーダーを持った人たちが集まっていることに気付いた。