まだ仕立てたばかりのスーツは鞄と纏められ、ひっきりなしに振動しているスマホを汗だくの手で握りしめている。

 短髪で、いかにも大学を卒業したての新入社員ですとプラカードが下げられそうな彼は、四月に私の担当をすることになった新人マネージャーだ。

 元々私の担当マネージャーは、私が入所したと同時に事務所入りした人が務めていたけど、今年独立の運びとなり、彼はこの春から私へ仕事の連絡やSNS広報活動などのマネジメントを担っている。

「手首を切ったって本当ですか!?」

 病室に入ってそうそう、マネージャーは問いかける。

 大体四か月ほどしか担当していないアイドルが自殺するなんて、信じたくないだろう。