この世に生まれて十七年、生きるのが無理になった。

 理由は数えきれないほどある。

 炎上してアイドルとしての生活が疲れたとか、CD折られた画像見たとか、DMに罵詈雑言が来るとか、私がライブ配信に出るとコメントが荒れるから出してもらえないとか、ずっと目指してたCМ出演が消えたとか。

 炎上に終わりが見えないし、これからも炎上したことを引きずって生きていかなきゃいけないとか。

 私の置かれた状況すべてが、アイドルとして致命傷だった。

 しかしながら万単位で自殺者が絶えないこの国では、大変残念なことに自殺防止の策が講じられている。

 駅ではホームドアが設置されているし、踏切では緊急停止ボタンがある。

 ある程度の階数を超えた建物は窓が開かないところがほとんどだ。飛び降りに適している崖や橋はボランティアの見張りがいるし、学校の屋上なんて業者すら立ち入らず、扉にはべっとりほこりが溜まっていた。

 睡眠薬だって、そうやすやすと大量にもらえないし、不審な言動を見せればすぐカウンセリングが入る。

 楽に死ぬことすら許されないのだ。この世界は。

 包丁で胸を一突きは痛いし、絶対奥まで刺せる気がしない。リストカットで死ねるわけないなんてネットには書かれているし、首つりは方法より先に失敗したときのリスクが滔々と語られる。

 死にづらい。