太陽の子


慎くんが、素顔で眉を寄せる。
タレ目の瞳は、何だか泣きそうだった。
そんな美しい目を見てると、何だか私も泣きそうになった。


「…私、慎くんのこと、好きだよ」


慎くんの目が、揺らぐ。それでも私と目線は交わったまま。


「結構、好きだったりするよ?」


泣きそうなのを堪えて、私は笑った。


「きっと好きなら、そのヒカリが見えないことさえ好きになるんだよ」


まるで、口説くように説得するように。美しい目を見続ける私に、ついに慎くんが口を開いた。


「陽葵は、」


私は?


「ほんとに、太陽みたいだね…」


太陽?


「…それって、苦手ってこと、?」


太陽を見れない男。太陽と同じってことは、私の事も見れないってこと?
そう思って聞けば、慌てて顔を横に振る慎くんがいて。


「違うよ、そうじゃない。…陽葵といるとすごく心が暖かくなるから。だから太陽みたいって…」

「慎くん…」

「幸せな気持ちになる」

「うん」

「今も、サングラスわれて、やばいのに…初めて直接陽葵の顔見れて嬉しくて…」

「じゃあ、毎日見せるね。昼休みここに来て一緒にお弁当食べようよ。ここなら外せるでしょ?」

「うん…」

「もし、慎くんがサングラスを外したいっていうのなら私も手伝う…。頑張って克服して〝卒業〟しよう?」

「…うん、こうした暗い所じゃなくて、明るい所でも陽葵の顔が見たい…」

「うん」

「陽葵、今日から俺の彼女ってことでいいの?」

「うん」

「ほんとに、面倒だよ?」

「面倒なんて思ったことないよ。私は慎くんだから好きになったんだよ」

「陽葵…」

「太陽を見れない分かりに、ずっと私を見てくれたら嬉しいな」