「巴里。何、見てんの?」

「別に。」

別にって言っているのに、窓の外に何があるのか、探してまわっているのは、同じ図書委員の吉川麻也(ヨシカワ マヤ)だ。


「あれ?矢崎君だ。隣の女の子は誰?」

麻也が恭平に気づいてしまった。

「ん?」

私はわざと、今気付いたかのように振舞った。

「ああ。サッカー部のマネージャーだよ。二人付き合ってんだって。」

「へえ~意外。」

麻也は、目を丸くしていた。

「どうして?」

「だって矢崎君って、いつも巴里達とつるんでるじゃん。他の女の子と一緒にいる事が、想像できないっていうか……」


麻也がそんな事を言うくらい、私達三人は一緒にいるのが、当たり前だった。