「麻也!誤魔化して!!」

「えっ!」

私は準備室のドアの影に隠れた。


「ああ…矢崎君。今日は何か用?」

「吉川。巴里、そこにいるだろ。」

「ま、巴里?さ、さあ……」

「ちょっと、どいて。」

「や、矢崎君!!」

恭平はカウンターを乗り越えて、準備室のドアを開けた。


「巴里。いないの?」

恭平が麻也と話している間に、机の中に隠れておいてよかった。

「出ておいで。話がある。」

その優しい言い方に、胸がキュンとなる

「出て来ないなら、こっちから行くよ。」


ま、まずい!

キュンとしている暇はない。

どこか、どこかに隠れないと!