「ダメなの…」

「…何が?」

私の声が、小刻みに震える。

「恭平の電話、出ちゃいけないの。」

優斗は残り一冊を、棚に戻した。


「忘れられないの…恭平が……」

自分でも情けないくらいに、か弱い声が出る。

「分かってる。でも巴里は……このままずっと、恭平を遠ざけるつもりなのか?」


遠ざける?

恭平を?


「友達も辞める気?」


友達じゃなくなる?

恭平と?


「もう二度と、恭平と話したくないって思うなら、電話に出なくてもいい。でももし……また3人でいたいって思うなら……つらいけど、友達を続けるべきだよ。」


優斗は時々、無理な要求を私につきつける。