次の日、恭平は帰りに私を呼びとめた。

「巴里。」

きっと昨日のメールの事だ。

「どうしてメール、返信しないのさ。」

呆れたような口調。


「ああ……メール、くれてたんだ。」

わざと今気づいたかのように、携帯を開いた。

「ホントだ。ごめん、寝てて気付かなかった。」

恭平の視線が痛い。


「巴里、あのさ…」

恭平が私に、そう言いかけた時。

「恭平君!」

「加絵ちゃん…」

恭平の彼女が、向こう側から手を振っている。


「ほら、彼女呼んでるよ。」

「あっ、ああ…」

恭平が油断している隙に、私は逃げるようにして、恭平の元を離れた。