その日は、お風呂に入った後、髪を拭きながら、携帯を開いた。

着信履歴が、何件も残ってる。

相手は、恭平だ。

何の用だろう。

聞かなくても分かる。

きっと、この前の事だ。


私は携帯をパタンと閉じた。

その上に、髪からの滴がポトッと落ちる。

「随分、髪伸びたな……」

私は、胸まである黒い髪を見つめた。



『巴里の髪、きれいだよな。』

二年生になって、すぐに恭平から言われた。

『伸ばしたら?巴里、似合うと思う。』

その一言で、初めて肩までの髪を、伸ばし始めた。

あれから一年も経つ。

こうして伸びた髪を見ると、年月が経つのは早いものだ。