「ホント、今日の巴里は冷たい!」

痺れを切らしたのか、優斗は私の前に現れた。


「それが救ってやったヤツに対する態度?」

「いつ、私が優斗に救われたの?」

「さっき。泣いてた原因、誤魔化してやった。」

私は急に、立ち止まった。

優斗がうつむきながら、口を開いた。


「恭平の事だろ?」

「……知ってたの?」

「彼女ができたって聞いてから、巴里、おかしかったし。」

「それだけ?」

優斗は自分の前髪を、クシャクシャと掻き乱した。


「ごめん。巴里の気持ち、知ってる。」

そんな風にはっきり言われると、私も恥ずかしい。

「いつから?」

「確信を持ったのは、最近。恭平を見る目が違うって事に、気付いて……」



彼女ができてから、優斗に知られるなんて。

バカなのは、私の方だ。