「巴里!てめえ、おまえを待ってた俺を置いて行くとは……」

駆けつけた優斗に、今度は恭平が食いつく。

「優斗!おまえが巴里を泣かせたのか!」

「はっ?」

「知らない振りか!」

「わあ~ストップ!泣かされたのは、俺!!」

優斗のそんな冗談に、恭平の手が止まる。


「巴里、ホントか?」

「うん…」

私の返事で恭平は、優斗を放した。


「巴里。どうした?学校で何かあったか?」

恭平の心配そうな顔にも、ただ首を横に振るだけ。


言えない。

恭平の彼女に、嫉妬しているなんて。


「恭平。巴里は、ただの花粉症だと思うぜ?」

恭平は優斗を睨んだ。

「巴里は、花粉症なんて持ってないだろ。」