本棚に向かう彼女さんを背に、私はテーブルに置いた本を、また手に取った。

こんな形で、恭平の彼女と会うなんて。


もっと嫌な感じだったらよかったのに。

もっと遊んでそうな感じならよかったのに。

それなら、彼女と付き合う事も、反対できたのに。

言葉にしたら嫌な女だと思われるくらい、私は黒い事を考えている。


そんな時だった。

「わあ~。ここ、グランドが丸見えだ~。」

彼女さんが。突然の大きな声を出した。

驚いて見つめてしまった私は、ガラスに映った彼女に気付かれた。

「ごめ~ん。うるさくしちゃった。」

謝るその仕草も、嫌みが無くて可愛い。

そして何を思ったんだか、私は彼女の隣に立った。