「あの……」

女子生徒は、不思議そうに私を見ている。

「えっ!ああ……すみません。」

「この本なんだけど…」

恭平の彼女さんは、本をカウンターに置いた。


「確認しますね。」

本の題名を見ながら、貸出名簿を探したけれど、どこにも見当たらない。

「あれ?この本、いつ借りました?」

軽く質問をすると、彼女さんはものすごい勢いで、両手を合わせた。

「ごめんなさい!実は半年も前に、借りた本なの!」


シーンとなる図書室。

「……もしかして、もうカードがないとか?」

彼女の困った顔は、女の私でも、可愛いと思った。

「ああ~今度からはちゃんと、一週間以内に返しに来るね。あっ!って言うか、もう借りられないってことはないよね。」