今年もまた、春が巡ってきた。

図書室から見える桜の木から、花びらが図書室の窓を通って、やってくる。


「また咲いたね~…桜さん。」

私はその桜を手に救い上げ、込み上げてくる悲しみを、じっとこらえていた。


私は自分の気持ちに気付いて、ある人に別れを切り出した。

あれから 一年が経つのだ。


その時、窓の外から私を呼ぶ声がした。

「巴里(マリ)~!」

同じクラスの矢崎恭平(ヤザキ キョウヘイ)と、椎名優斗(シイナ ユウト)だ。

私も窓の外に身を投げ出して、彼らに声を掛ける。

「サッカー部の練習、終わったの~?」

「おお!」

茶色っぽい髪と、大きくて丸い目をクリクリさせながら、手を振る優斗。