「金髪……。で、もしかして碧眼って、僕もそうなのか? 僕も彼らみたいに金髪で……碧眼で、その上めっちゃハンサム? まさか……」

「気づくの遅すぎ。でも正解。大正解。ヨーカンさあ、あのとき金髪碧眼ってわめいてた」
「いやいや、そうはいった……。確かにそういったかもしれんが、あれは当然女の子の金髪で碧眼の美少女を想定していたわけであって……ああああ――っ、納得できねええ――ぇ!!」

 洋観の目には男たちは全て金髪でイケメンぞろい。多少年齢によってばらつきはあって、歳を取った男の中には髪の薄くなった者や、金髪というよりは銀髪のおじいさんもいる。だが総じて、若い男たちはスラリと背が高く、北欧系の小顔でめっちゃイケてるルックスの男子ばかりに見えた。

 またしても頭を抱えて、地面に頭を何度も叩きつける洋観。その様子を見て気の毒になたのか、クロエが洋観の脇に跪いて、そっと背中に手を添えて優しく撫でてあげてる。

「でもな、お前だって結構なイケメン君に生まれ変わっているぞ。そうだな、どこかに鏡があればいいんだが……」

 ちょうど、通りに一軒の古道具屋を見つけたクロエが、頭を項垂れて道の真ん中でうずくまってる洋観の身体を起こすように促す。

「あそこに古道具屋らしき店がある。多分あの店なら鏡のひとつやふたつあるんじゃないかな? さあ、中に入って自分で確かめて見るんだな」

「エロ衣装……。巨乳……、爆乳……、生足……、金髪……。エルフ……、お姫様……、メイド……、ツンデレ……、サキュバス……」

 トボトボ歩きながら念仏のようにつぶやいている洋観を慰めるようにクロエが話しかける。

「おいおい、大丈夫か、ヨーカン? だいぶ頭の中が混乱してるようだな。願い事の中に入ってない言葉がちらほらあるぞ」