「それはヨーカンが口走った『エロいおねーさん』のおかげで、こんな感じの際どいコスプレもどきになったんだろうが、あアん!?」

「ええ――っ、そうかな~~、僕、あのときこんなコスっぽい衣装思い浮かべてた記憶がないんだが!?」

「こんなド派手でエロエロな服を着せられて、天下の往来を歩かされる身にもなってみろ!」

「そうはいっても、お前はいいよ。かっこいいファンションを身に着けて、ルックスもかなりイケてるじゃないか、可愛く出来上がってるとこが、ちと悔しいが……」

 クロエは、大きくため息をつくと、「ちっ、ちっ、ちっ」と、2、3度舌打ちをしながら、少し大げさに頭を左右に振った。

「はあ? えええっ――!? もしかして、僕って向こうの世界の顔と身体をそのまま引き継いでるんじゃないのか? じゃ、じゃあ、いったい今の俺の顔って……」

 洋観は取り乱して、掌で顔の額や鼻、口唇にほっぺを「パチパチ」と叩いて顔の造形を確かめようとするが、それでは埒が明かないと判断したのか、クロエに尋ねることにした。

「なあ、クロエから見て、俺の顔ってどんな感じに見えるんだ? さっきイケてるっていってたけど、どのくらいイケてるんだ? もっと具体的に、誰に似てるとかあるだろう」
「ああ、それだったらこの村の中に答えがあるんじゃないか? ほら、見てみなって、ぐるーっと辺りのいる男達をさあ」

 そういわれて、膝立ちのままの姿勢で周囲を見渡す洋観の目に飛び込んできたのは、全く予期していなかった光景、いやむしろ彼にとってはまさしく悪夢だたかもしれない。

 村で出くわす男たちは皆、金髪碧眼で多少顔の造作に違いはあるが、ほぼ全員整った顔立ちをしている。これってもしかして……洋観にとっては完全アウェーな設定では!?

「悪夢だ。こんなイケメンたちに敵うわけゼッテー無いわ――!!」

 呆然とする洋観の傍らで、クロエが言葉を遮るように割って入る。

「『あべこべ』がこんな形で実現したってわけだな?」

「初めにいったはずだ。何もかも前の思いどおりという訳にもいかないと、説明したはずだが?」

「…………」

 洋観は、心をえぐられる大きなショックを受けた。

「金髪……ああ……金髪、碧眼……うがああ……あお、青い目の美少女は何処に……?」