(え? その程度のことで? よほどコスプレまがいの衣装を褒められたことに気を良くしているようだ。医者だから知的でとっつき難い性格かと探り探りだったが、案外くだけた感じで、トモカ女史の扱い方は掴んだぞ)
「あのう、まだこの村のことを知りたいので、少しそこらへんをぶらぶら散策してみたいのですが、いいでしょうか?」
「そうだな、何もかも初めてのことだらけで、慣れないことも多かろう。狭い村だが、日が沈むまで隅々まで見てくるといい。帰って来る頃には誰もいないと思うが、裏口から中へ入ってくれ。鍵は掛けておかないでおこう」
不用心だが、それがこの世界のルールならそれに従うまでだ。
「明日の朝は、村役場の鐘が時間を知らせてくれるから、それまでに二階の部屋から、一階のこの事務所に降りてきてくれ。朝食は、台所にある食材を自由に使って簡単な朝食を済ませておくといい。なんなら、うちの若い娘になにか作らせておくが……」
「いえいえ、そこまでご好意に甘えるわけにはいきません。朝飯は僕とクロエの二人で何とかしますから」
「そうか……」
トモカ先生は、もっと頼られたいのだろうか、すこし不満そうな面持ちで洋観とクロエを見つめていた。
洋観とクロエは医師会兼診療所を出る。
陽が暮れるまでの時間、村の中をぶらぶらしてみることにした。
突如、村の往来で不意に立ち止まった洋観が天を仰いで大声を上げた。
「今になって悔やんでも後の祭りだが、ああ――、なんであのとき、もっと冷静に異世界ライフを堪能できるような言葉やアイテムを叫ばなかったんだ!? 確かに自分でもパニクってたのは事実だけど……」
洋観は頭を抱えてうずくまる。
「猫な」
「ああ、それでお前――クロエがいるわけだったよな でもなんで人間になってんの。しかも健全なラノベの範疇を大きく逸脱したエロ過ぎる衣装着てさ。お前は恥ずかしくないのか?」
「それは、診療所の女子たちに抱いた感想と相反していないか?」
「お前はあくまで、小山内家のペットなだけで、必要以上のサプライズは期待していないし、この異世界の案内役を務めてくれるだけで十分だから。しかし、お前の着てる服装も際どいっていうか、公然わいせつすれすれとでもいうか、エロい格好してるよな~。自分で着てて恥ずかしくないのか?」
「あのう、まだこの村のことを知りたいので、少しそこらへんをぶらぶら散策してみたいのですが、いいでしょうか?」
「そうだな、何もかも初めてのことだらけで、慣れないことも多かろう。狭い村だが、日が沈むまで隅々まで見てくるといい。帰って来る頃には誰もいないと思うが、裏口から中へ入ってくれ。鍵は掛けておかないでおこう」
不用心だが、それがこの世界のルールならそれに従うまでだ。
「明日の朝は、村役場の鐘が時間を知らせてくれるから、それまでに二階の部屋から、一階のこの事務所に降りてきてくれ。朝食は、台所にある食材を自由に使って簡単な朝食を済ませておくといい。なんなら、うちの若い娘になにか作らせておくが……」
「いえいえ、そこまでご好意に甘えるわけにはいきません。朝飯は僕とクロエの二人で何とかしますから」
「そうか……」
トモカ先生は、もっと頼られたいのだろうか、すこし不満そうな面持ちで洋観とクロエを見つめていた。
洋観とクロエは医師会兼診療所を出る。
陽が暮れるまでの時間、村の中をぶらぶらしてみることにした。
突如、村の往来で不意に立ち止まった洋観が天を仰いで大声を上げた。
「今になって悔やんでも後の祭りだが、ああ――、なんであのとき、もっと冷静に異世界ライフを堪能できるような言葉やアイテムを叫ばなかったんだ!? 確かに自分でもパニクってたのは事実だけど……」
洋観は頭を抱えてうずくまる。
「猫な」
「ああ、それでお前――クロエがいるわけだったよな でもなんで人間になってんの。しかも健全なラノベの範疇を大きく逸脱したエロ過ぎる衣装着てさ。お前は恥ずかしくないのか?」
「それは、診療所の女子たちに抱いた感想と相反していないか?」
「お前はあくまで、小山内家のペットなだけで、必要以上のサプライズは期待していないし、この異世界の案内役を務めてくれるだけで十分だから。しかし、お前の着てる服装も際どいっていうか、公然わいせつすれすれとでもいうか、エロい格好してるよな~。自分で着てて恥ずかしくないのか?」