――ホタルが泣いている。そんな風に、みえた。でもそれは幻想かもしれない、ふつうに考えるとそんなことは現実には起こりえないことなのだから。
思い出せない言葉なのに、これがとても大切なものだと知っている。身体の奥深くに宿っている――なのに、沈んでいく。消えてしまう泡沫となって。
息ができない。
ホタルはまた、飛んだ。今度は空高く。
淡く美しいホタル燈が雨を、沈んだ心を、照らしだす。
辺りが青い泉の“青”に染められる。
浮かび上がる、あの美術館でみたあの美しい青が――あれは……あの絵は……! 言葉になる前に懐かしい声がした。
『青の陽だまり。ほんとうに救われたのは、俺なんだよ。ありがとうな』
あの日の。
あの日の、カタチだった……。
「あのね、あのね、夢叶ったよ。マンガ家になれたの………ありがとう………あの日わたしにあの言葉をくれて」
涙がとまらない。
雨はいつの間にか上っていて、美しい夜明けが果てしなく広がっていた。その狭間にいるわたしとホタル。たくさんたくさん言葉はあとからあとから湧き出てくるのに、うまく伝えられない。
『続けろよ』
ホタルが最後に残してくれたのは、あの日かけてくれた魔法の言葉だった。
夢の続きを見ているような感覚だ。名残惜しそうに夜明けの空へと飛んでいくその姿を見送りながら、また涙がこぼれた。
思い出せない言葉なのに、これがとても大切なものだと知っている。身体の奥深くに宿っている――なのに、沈んでいく。消えてしまう泡沫となって。
息ができない。
ホタルはまた、飛んだ。今度は空高く。
淡く美しいホタル燈が雨を、沈んだ心を、照らしだす。
辺りが青い泉の“青”に染められる。
浮かび上がる、あの美術館でみたあの美しい青が――あれは……あの絵は……! 言葉になる前に懐かしい声がした。
『青の陽だまり。ほんとうに救われたのは、俺なんだよ。ありがとうな』
あの日の。
あの日の、カタチだった……。
「あのね、あのね、夢叶ったよ。マンガ家になれたの………ありがとう………あの日わたしにあの言葉をくれて」
涙がとまらない。
雨はいつの間にか上っていて、美しい夜明けが果てしなく広がっていた。その狭間にいるわたしとホタル。たくさんたくさん言葉はあとからあとから湧き出てくるのに、うまく伝えられない。
『続けろよ』
ホタルが最後に残してくれたのは、あの日かけてくれた魔法の言葉だった。
夢の続きを見ているような感覚だ。名残惜しそうに夜明けの空へと飛んでいくその姿を見送りながら、また涙がこぼれた。