でもその夢が、叶うことはなかった。



どんな夢も願いも遠ざかってゆく。



高校を卒業してからも淡々と描き続け、やっとの思いで掴んだものは、サラサラと砂のように零れ落ちていく――偶然再会したクラスメイトにあの人の名前を出した途端、いつかこんな日が来るんじゃないかって思っていたと苦しげに笑った。



場所を変えようと連れていかれた場所は小さな美術館だった。



「あの……?」

「あいつの絵がここに飾ってあるんだ」

「それとどういう関係が……」

「あいつの夢、画家だったんだ。でもずっと思うようなもの描けなくて悩んでた――でもいつも楽しそうだったよ」



館内には絵画が数点展示されているだけだった。奥へ進んでいくと、息をのむような美しい青が目の前に突然現れた。



青が歪む。



なんとなくわかってしまった。



どうして、神様は叶えてくれないんだろう。




たったひとつの、光さえも――――。