●エルフィーヌ(女の子)の回想

 エルフィーヌはエルフたちが暮らす里で育った。里は自然が豊かで綺麗な泉もあり、エルフたちはそこで狩りや農業を行い暮らしていた。
 この世界のエルフには、力の強いパワー型、弓などの武器の扱いなどに長けたテクニカル型、そしてヒーラーを含むサポート型と、いくつかの(タイプ)があり、16歳になると里長による儀式でその適性を見る習慣があった。エルフィールは、ヒーラーとして傷ついた人々を治す聖女のエルホテプのようになりたいという(こころざし)を持っており、適性は生まれ持ったものと分かっていても少しでもサポートになりやすいよう薬草を毎日食べていた。だが儀式の日、彼女は自分が望んだサポートではなく、パワー型ということがわかり落胆する。

 この里では適正をもとに自身の役割が決まるため、パワー型のエルフィーヌに対しても周囲は戦士になるよう勧められる。初めは彼女も受け入れようと考えるが、どうしてもエルホテプへの憧れを捨てきれず里を飛び出して旅に出た。

 そして様々な都市や地域で医師などの職を探すもサポート型のエルフではないという理由で、なかなか決まらなかった。
 そんなある時、彼女はダンジョンとそこに巣食っている魔物の話を聞き、魔物から人々を守る冒険者を支えることで自分も人々を助けたいと考えパーティーのヒーラーになることを決意する。

 しかし、適正がヒーラーでない彼女は戦士としては誘われるものの、ヒーラーを募集しているパーティーに入れてもらえず、またもや途方に暮れる。

 そんな日々が続いきうんざりしていたある日、彼女は魔がさして自分はヒーラーだと偽りパーティーへと入れてもらう。だが、一向に回復魔法を使わず薬草ばかり用いるのを怪しまれ、途中で嘘をついていたことがバレてしまう。パーティーのメンバーはヒーラーがいないのでは危険だと判断し、怒りながらエルフィーヌのクビを宣告し彼女を振り払うように引き返し出す。
 弁明しながら追いかけるエルフィーヌだったが、大木の近くを通った時に1人穴へと落ちてしまう。

 長い通路を転がると、ダンジョンの開けた部屋に出る。エルフィーヌは悲鳴をあげながら落ちていき、部屋にいたデーモンの頭にぶつかってしまう。デーモンに捕まった彼女は気を失うとぶん投げられ地面に上半身が埋まってしまうのだった。