●草原

 16歳になったフォールティアは都市ドミヌゥムから少し外れた草原にいた。虫の採集である。彼は石をひっくり返して目当てのイモムシを見つけると、捕まえて腰にぶら下げた小さな壺に入れる。そしてまた別の石をひっくり返す、これの繰り返しだった。
 すると草むらがガサガサと揺れる。フォールティアはすぐさま剣を構えた。一瞬の静寂の後、彼の目の前からひと回り小さいゴブリンのような魔物が飛び出した。
 フォールティアは魔物の振り上げたこん棒を剣で受けると足で蹴り上げた。そしてそのごも彼の優勢で戦闘は続き、気がつけばゴブリンをもう少しで倒せそうだった。しかし、最後の力でゴブリンは飛び上がる。太陽を背にしたゴブリンを見上げたフォールティアはたまらず目を閉じた。その結果、ゴブリンの一撃を喰らってしまう。敵はボロボロだったため、軽いダメージで済んだが、彼はやばいと思いその場から逃走してしまうのだった。

●都市ドミヌゥムのギルド内にて

 ギルドに入ると、受付の女性が気さくな感じで声をかけられた。そして採集はどうだったか尋ねられ、ゴブリンに遭遇したことを話す。彼女に問い詰められ、フォールティアは今回も逃げてしまったことを話してしまった。
 フォールティアにとって逃げるのは今回が初めてではなかった。というか、いつも通りだった。彼はたとえ勝てるような状況でも、少しでもやられてしまうと即座に逃げてしまう癖があったのだ。そのため、パーティーに入れてもらっても、クエストの途中で1人真っ先に逃げてしまうことが多々あり、いつしか誰からも入れてもらえなくなっていた。
 受付の女性にこのままでは立派にもなれないし仲間も集まれないですよと怒られた。そしてフォールティアはいつものように彼女から借りるという形で生活費をもらうと、モヤモヤしながらも帰路につき、寝た。

●草原
 次の日、フォールティアは再度同じようにイモムシを収集するクエストを行っていた。すると、昨日と同じようにゴブリンが現れた。フォールティアは今度は倒そうと戦い始める。
 しばらくすると、ゴブリンは奥の森の方へと逃げ出した。今回は倒そうと決意したフォールティアはゴブリンを追って森へと入る。彼は必死になって追いかけるうちに、自分がどこにいるかわからなくなり、ゴブリンも見失ってしまった。
 フォールティアが森を徘徊していると、巨大なまさに大木の根の下に吸い込まれるように落ちてしまった。
 
●隠しダンジョン内
 気を失っていたフォールティアは目が覚めると、古びた遺跡のような場所にいると気づく。そして不気味だが神聖な感じに不思議な感覚を覚えつつも、出口を探すため歩き出した。