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「王宮へ行く?」

 3つの小さな聖石を聖石堂の祭壇に据える儀式を終えた。その後のささやかな祝宴の最中に、リョウはその話をし始めた。

「はい。歴史上の大賢者や賢者たちは、オベロン王にその称号を贈られたあと、人間の王にその報告する定めとなってます。我々も、それに倣おうかと」

 村長は他の村人たちを気まずそうに顔を見合わせる。

「それは……()()()()()()にですか?」

 キンダーが丁寧な言葉づかいで聞く。オレは答える。

「もちろん()()()()()だ。オクトが自称する勇者王朝なんかじゃない」

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 その報告がギョンボーレの都にもたらされたのは、口頭試問が終わり、王より大賢者の称号を贈られたまさにその日だ。

 さらにそこから遡ること一週間前、この時代の魔王・ギオロンが勇者オクトによって討伐された。人々は歓喜し、王宮は勇者たちの凱旋を迎え入れ、壮大な祝賀会が行われた。まさにその場で……

『魔王の専横を許した現王朝に、人を守護する資格なし。これより我々が実力を持って人を導く』

 そう宣言し、王宮で殺戮を繰り広げた。王族のほとんどが処刑され、彼らを守護する近衛兵団も空から降り注ぐ星の雨に焼き尽くされたという。
 『聖石兵器(クリスタルウェポン)』の存在を、多くの人間はそこで初めて知った。オクトの仲間の一人、大魔道士ジュリアが杖が持つ杖には、流星を自在に操る力があった。もちろんそれだけではない。オクトの剣は大地を切り裂く力があり、闘聖(バトルマスター)アグリが戦斧を一振りすれば無数の旋風があらゆるものをなぎ倒す。その他、オクトに付き従う転生者達はいずれも、一軍を倒せるだけの力を秘めた武器を持っていた。
 言うまでもなく、聖石を利用した武器だ。世界中のあらゆる聖石堂より略奪した石を加工した武器。オクト達はそれを魔王だけではなく、人間に対しても使用した。シャリポやオレが恐れた通りの事態となった。
 一晩にして王宮は崩壊し、王都には「勇者王朝」と称される新政権が発足した。