もう……俺死にそう。
なにがって、かれこれ30分間も太ももの上に、アンナちゃんの股間を押し付けられているからね。
「足つぼで体調とか分かるんだよ~☆ タッくんはやっぱり肩が調子悪いみたいだね。ガチゴチに固まっているのかなぁ? 執筆偉いね☆」
「……」
固まっているのは、ベッドに深くブッ刺さった俺のナニかだよ。
「調子悪いなら、また肩をマッサージしようか?」
そう言って態勢を前に戻す。
くっ! もう少し、太ももでパンティを味わいたかったぜ!
「って……あれ? タッくん、なんかケガしてる?」
「ん、ケガだと?」
「なんかシミが……」
俺はずっと枕に顔を埋めているから、彼女の顔をは見えない。
どうやら、俺の浴衣に指で触れて、確かめているようだ。
「これ……血じゃない!?」
「え?」
思わず振り返ってみると……。
確かに腰のあたりに赤いシミが、浮かんでいた。
「大変! タッくん! ケガなら手当しないと! 早く浴衣脱いで!」
「あ、いや……」
まずい。宗像先生の紫パンティ履いたまま、なんだよな。
でも、ミハイルの時に「それでいいじゃん」的な発言頂いているし、構わないか。
「じゃあアンナが手当するから、タッくんはじっとしてて☆」
そう言って、ゆっくりと優しく脱がせてくれた。
しかし、ケガだと?
覚えがないな。
パンツ一丁になったところで、アンナは黙り込んでしまった。
「……」
沈黙が不安で俺は彼女に声をかける。
「どうした、アンナ?」
冷えきった声で囁く。
「本当に履いちゃったんだ……タクト。宗像センセーのパンツ……」
み、ミハイルが出現しちゃったよ!
めっちゃ怒ってるじゃん。話が違うよ。
その後、軽く舌打ちしたあと、パンティーの紐をギュッと掴むと、勢いよく腰からかかとまで、素早く脱がせられた。いや、奪われたのだ。
俺の大事なものまで引きちぎられそうなぐらいの素早さ、剛力で。
「いって!」
手で股間を抑えながら、振り返って見ると。
宗像先生のパンティーを右手でギュッと握りしめるアンナさんが目に入る。
優しく微笑んではいるが、目が笑ってない。
下から見ると悪魔のようだ。緑の瞳がギラッと光る。
「タッくん? 他の女の子のパンツは履いちゃダメでしょ?」
「は、はい……」
「じゃあこれはいらないよね? アンナがあとでトイレのゴミ箱に捨てておくから、タッくんは気にしないでね☆」
ひ、酷い! 借りものなのに。
「いや、しかし。それは俺の担任教師の私物で……それに俺ノーパンになっちゃうぞ?」
「だから?」
ニッコリ笑ってみせるアンナ様。
これは反論すると、痛い目にあう。
「あ、ノーパンで帰ります……」
「いい子だね、タッくん☆ でも安心してね、アンナがあとで代わりのものを用意してあげる☆」
「は?」
ミハイルのパンツでも出すのか?
あいつのサイズじゃ、俺はきつそうだが。
「まあこの汚物は捨てておくとして……。タッくんのケガしたところ、どこかな?」
やっといつもの優しいアンナちゃんに戻ってくれた。
「た、確かに……痛みは感じないのだが」
二人して、キョロキョロと腰のあたりを探してみる。
「あ……タッくん。お尻から血が出てるよ」
口に手を当てて絶句してしまうアンナ。
言われて、臀部に触れてみると。
ヌルッとした暖かい液体が……。
ふと身体をベッドから、少し浮かせてみる。
シーツが真っ赤になっていた。
股間あたりから。
「……」
一瞬にして、記憶が蘇る。
そうだ。俺はうなぎ並みのごんぶとをリキの兄貴に、事故とはいえ、さきっちょをブチ込まれたんだった。
「タッくんって、痔持ちだったの?」
「いや……これは違うんだ」
一筋の涙が頬を伝う。
「泣いているの? タッくん? 痛い?」
心配して身を寄せてくるアンナ。
だが、今はその優しさが、辛すぎる。
「すまん! ちょっと、ウォシュレットで洗ってくる!」
「あっ! 待ってよ、タッくんたら!」
彼女を部屋に置いて、俺は泣きながらトイレへと走り去る。
ドアの鍵を閉め、便座に腰を降ろして、ウォシュレットで洗い流す。
「俺……童貞捨てる前に……ううっ、処女を捧げちまったんだなぁ」
トイレから出てくるまで、1時間を要した。