「おい! 何の真似だよ?! ふざけんな!」


閉じ込められた事に気が付いて、ドンドンと扉を叩いて怒鳴るが、外から聞こえるのは笑い声だけ。


「二人きりにしてあげるんだから感謝しなよー?」

「どうぞ、お幸せに~!」


キャハハハという不快な笑い声が遠ざかっていく。

ここの体育倉庫は、体育の授業で使う用具がしまってあるので、授業がない限り、開けられる事はない。

しかも体育倉庫として建てられた建物ではなく、使わなくなったとみられる貨物列車のコンテナなので、窓がなく扉が閉まると中は真っ暗で何も見えない。


『白石さ、暗い所が苦手なんだって。だから、暗い所に行かないように気をつけてやって』


さっき深澤先生に言われた事を思い出し、僕は急いでポケットの中を探ってスマホを取り出そうとした。

八つ当たりして教材室を飛び出した後ですぐに助けを求めるのはアレだけど、緊急事態だから仕方がない。