「返してっ! 大事なお守りなんだからっ!」


必死な表情でお守りを取り返そうとするルカ。

意外な反応に面白くなったのか、サッと腕を上げて届かないように遠ざける工藤さん。


「……何してんだよ。返せよ!」

「悠真君……」


駆け寄って肩で呼吸をしながら僕は工藤さんに言い放った。

泣きそうな顔で僕を見たルカ。

その表情に胸が痛みだす。

工藤さんは僕の姿を見るなり、バカにしたように鼻で笑う。


「えー、良かったねー。いいところで彼氏登場じゃん」

「つーか、タイミング良すぎない?うちらの事、ずっと見てたわけ?キモ」

「そんな事どうでもいいだろ。返せよ、それ!」

「何ひとりで熱くなってんの?寒すぎ」


怒る僕を見て、寒いとかどういう頭してんだよ。

誰だって大事な物を取られたら怒るだろ。


「何でこんな事すんだよ? 僕が気に入らないのはわかるけど、ルカを巻き込むなよ!ルカは関係ないだろ!」


ルカの表情を見たら、怒らずにはいられなかった。

こんなにも他人の事で怒れるなんて、自分でもびっくりだったけれど。