誰の心にも暗い影を落とす事なく、涙など流す事はなかった。

自分で命を絶つ事が許されない僕は、一生その罪と向き合って生きていかなきゃならない。

もしも願いが叶うのなら、生きても無駄な僕の命と引き換えにみんなに好かれていた兄貴をこの世に呼び戻して欲しい……。

昇降口に向かいながらふと窓の外に目をやると、ルカが数人の女子と歩いている姿が目に入った。

何だ、ちゃんと同性の友達できたじゃん。

別に僕が心配するほどの事でもなかったな。

足を止めて、何気なくその姿を眺めながら安堵のため息をつく。

きっと、前の学校の友達と同じように、寄り添って笑顔で写真が撮れるような関係に慣れると思うよ。

ちょっと……いや、かなり変わり者だけど、ルカって悪い人じゃないと思うし……。


「……ん?」


何気なく見ていたけれど、彼女らが向かっている方向は校門とは正反対の方角。

そっちには体育の授業でしか使わない体育倉庫しかない。