何も言わずにいると、先生がはあっとため息をつく。


「だから、何かツッコめよ! まあいいや。何かあったら報告ヨロシク~」

「期待しても、何もないですから。先生こそルカに声かけてやってくださいよ。俺に絡む時間があるのなら」

「何だよ、つまんないな。少しは期待に応えようと努力しろよ。……あ、そうだ。伝え忘れてたんだけど、白石さ、暗い所が苦手なんだって。だから、暗い所に行かないように気をつけてやって」


暗い所が苦手? 

そんな話、初耳なんだけど。

まあ、そんな人はこの世の中にたくさんいるし、別におかしい事ではないけど。


「……覚えてはおきますけど、そんな事僕に言っても意味ないと思いますよ」

「そう言うなよ。……あ、それと、週末、斗真に会いに行くわ。命日だろ?」


教材室を出ようとドアに手をかけたら、先生がそう言った。

……そうか。今週末は兄貴の命日なのか。

兄貴が亡くなってもう三年がたとうとしてる。

僕は、兄貴が亡くなった年齢を追い越してしまった。