「席は、風見の隣な。おーい、風見悠真~」

「……はい」


ダルそうに僕の名を呼んだ深澤先生。

人の名前を呼ぶ時くらい、覚醒しろよ。

そう思いながら、僕はスッと手を挙げて返事をすると、転校生の彼女と目が合った。


「風見。しばらく教科書とか見せてやってなー」

「わかりました」

「よろしく~。白石、困った事があれば、風見が何でも答えてくれるから。じゃんじゃん聞いちゃって。風見も白石の事よろしくな」


じゃんじゃん聞いちゃってって、それって、学級委員の仕事じゃないのか?

何で隣の席の僕が面倒見る事になってるんだ?

深澤先生に心の中でツッコんだけど、さすがに先生の言う通りに彼女が僕にじゃんじゃん質問してくるとも思えない。

面倒だから何も言わずに黙っていると、空いていた僕の左隣である窓側の一番後ろの席に白石さんが座った。


「よろしくね、悠真君」

「え? ……あ、はあ」


いきなり下の名前で呼んでくるとは思わなかったし、今まで女子から下の名前で呼ばれた事がなかったから、驚いて反応が少し遅れた。