兄貴の事を知っているのなら、自然に弟の僕の事も知る事になる。

変な時期に転校してきてまで繋がりたかった意味は理解できないけど。

ただ腑に落ちないのは、周りから色々言われて、兄貴がすでにこの世にいない事を知っているはずなのに、何で僕から離れないのかという事。

……って、もう考えるだけ無駄だし、最初から僕には全く関係のない事だったんだよな。

知りたくもないし、知る必要がない。

結局、僕は無駄に振り回されただけだった。


「……帰るよ」

「え、何で、急に?」


怒りなんて少しもこみ上げてはこなかった。

むしろ有頂天になっていた自分に対して腹が立つ。

人と関わる事が面倒だって思っていたのに、関わってしまったのは僕の選択ミス。

何が、居心地がいい存在……だ。

カバンを持つと、部屋を出て玄関に向かう。


「悠真君、ちょっと待って……」

「ごちそうさまでした。……ルカ、もう一緒に登下校しなくても大丈夫だろ? 明日からは別々で」

「何で急にそんな事……。もしかして、気を悪くさせちゃった? させたのなら謝るから、そんな事言わないで」

「いや、一人になりたいんだ」


引き留めようと必死になるルカを見たくなくて、僕は目を伏せた。