「悠真君、クッキーは大丈夫?」


写真を眺めていたら、トレーに紅茶のカップとクッキーの入ったお皿をのせて、ルカが部屋に入って来た。


「あ、気を遣わせちゃってごめん。クッキーは大丈夫」

「それなら良かった。いつも悠真君が気を遣ってくれてるんだから、少しは返させてよ」


ルカはフフッと笑いながら言って、トレーを机の上に置いた。


「冷めないうちにどうぞ。クッキーも美味しいよ?」

「どうもありがとう。……この写真、前の学校の時の?」

「うん」

「楽しそうだな」

「楽しかったよ。みんな仲良くて、私が転校する時もお別れ会開いてくれたし」

「そっか……」


写真だけでなく、本人からの証言がとれたし、いじめが原因で転校してきたわけじゃなくて良かった。


「やっぱり気になる? 何でこんな中途半端な時期に転校してきたのかって」

「そりゃ、まあ。だから、いじめられてたんじゃないかとか、重い病気で余命が少ないとか変な事考えちゃったよ」


正直に言うと、ルカは可笑しそうに笑った。