しかし、いつも僕の話をしてるって、一体何を話してるんだろう。

「すみません、お邪魔します」

「あ、悠真君は紅茶飲める? うち、コーヒーないんだ」

「紅茶は好きだよ」

「じゃあ、紅茶入れて来るね。ここで待ってて」


玄関脇の部屋のドアを開け、ルカはカバンを置く。

暖色系で揃えられた、いかにも女の子っぽい部屋に足を踏み入れる事なんて人生初だ。

姉か妹がいれば日常茶飯事の光景だったかもしれないが、生憎うちは男兄弟。

兄貴はどうだったのかわからないけれど、僕にとってここはラノベや漫画の中でしか見た事がなかった。

何だか禁断の世界に迷い込んだみたいで、正直落ち着かない。

傍から見たら、挙動不審で、完全に怪しい人。

つーか、彼氏でもない僕を自室に招き入れるなんて、何考えてんだ、ルカは……。

気を取り直して部屋の中を見回すと、コルクボードに写真が貼ってあった。

一緒に写っている子は、前の学校の友人だろうか。

どの写真もみんなで仲良さそうに寄り添いながら、笑顔でピースサインをして写っている。

中途半端な時期に転校してきたから、いじめが原因じゃないかとも心配になったけれど、どうやらそうでもないらしい。