思わず胸を抑えると、ドクドクと鼓動が早くなっているのがわかった。

どうして、兄貴とルカの表情がリンクしたのだろうか。

その時、駅前のロータリーからパッパーというクラクションが聞こえ、ビクッと体が硬直してしまった。

震える手で拳を作り、グッと力を入れる。

別に僕らに対して鳴らしたわけではないが、あの音が脅威でしかない。

兄が事故で亡くなったあの日から、僕はクラクション恐怖症となってしまった。

耳の奥でずっと鳴り続けている物とは別に、他のクラクションの音を聞くと、それがスイッチとなりあの日の光景が嫌でも蘇って来て震えが止まらなくなる。


「悠真君、大丈夫?やっぱり、顔色良くないよ……」

「……ごめん、大丈夫」


変な汗が額に浮かぶ。

体が震えるのを何とか抑え、深呼吸をして落ち着かせる。

そんな僕を、心配そうな顔で覗き込むルカ。

だいぶ落ち着いてきたようだ。


「本当にごめん。もう大丈夫だから……」

「本当に? まだ顔色悪いよ?」

「家帰ったら横になるから。なんか、不快な思いさせた上に、心配かけてゴメン」


今日は厄日かというくらい、次から次へと色々な事が起きる。

ため息をついた時、ルカが僕の腕にしがみついた。