そちらを向くと、同じ中学校出身だった女子が数人こちらを指さして笑っている。

嫌なタイミングで嫌な奴らと会ってしまった……。


「やっぱ見間違いじゃなかったんだー。風見に似た奴が可愛い子連れてるって、噂になってたけど信じてる奴いなかったのにね」

「何、お兄さん亡くなったから、解放された感じなの?」

「風見先輩、パーフェクト王子だったもんねー。実の兄弟とは思えないほど」


ゲラゲラと品のない笑い声をあげる彼女たちをルカは怪訝そうな表情で見つめている。


「彼女さん、気をつけた方がいいよ?」

「……えっ?」


話しかけられて、戸惑うルカ。

そんな事もおかまいなしに、明らかな温度差が違うのを楽しむように彼女たちは話し続ける。


「風見、何でもできるお兄さんに嫉妬して、事故に見せかけて殺したって噂あるから、怒らせたらマジヤバいかもよ?」

「やめろ! それ以上何も言うな!」


ニヤつきながら、ルカに吹き込むように話す女子たち。

これ以上、ルカに聞かせたくなくて、思わず大きな声で制止してしまった。