「バレンタインの時も白石さんが裏庭に呼び出して、渡したって話だよ」

「白石さん、風見がどんな奴かわかっててやってんの?」

「それがさー、同じクラスの子が気をつけた方がいいって注意したら、キレたらしいよ」

「え、親切心を踏みにじるとか、意味わかんなくない?」


ヒソヒソしているはずなのに、全部聞こえてくる。

ワザと僕に聞かせるように話をしてるのか?

僕の事はいくらでも話してくれて構わないが、ルカの事を悪く言っているとかやめて欲しいな。

自分で言うのもなんだけど、ルカが主張した事って間違ってはいないと思う。

真相がどうであれ、事実かどうかもわからない事、しかもかなり内容がデリケートな物だっただけに、余計に面白おかしく話していいものじゃなかった。

それを指摘した事が、どうしてキレられた話に繋がるのか。

自分の身を守るためだったら、事実を捻じ曲げてでも誰かを陥れてもいいのかよ。

兄貴の事でだいぶ女子から理不尽な目にあったし、女子の噂話ほど信用できないものはないと思っている。

 
「ルカ。もう僕と一緒にいない方がいいんじゃないか?」

「どうして?」

「だって、変な噂されてるし」


ある日、一緒に下校した時に思い切って切り出してみた。