「俺じゃなくて、悠真の運命的な出会いになった方が面白そうだな」

「は?」


織原はそう言ってニッと笑い、自分の席へと戻って行く。

何が運命的な出会いだ。

そんなものはドラマとか小説のような、作り物の世界だけでいいんだよ。

ガラッとドアが開き、担任である深澤先生が入って来た。

日直の号令で起立し、朝の挨拶をする。


「はい、おはようー」


着席した後、出席簿を手にしながら言う先生。

色白で細身のせいか、覇気が全くないしいつも眠そうな顔。

趣味がオンラインゲームで、夜遅くまでやっているとか。

もうすぐ三十になるというのに、高校生のまま年だけ取ってしまったような人だし、こう見えてバスケ部の顧問というのがまた信じられない話。

バスケ部に所属する織原が言うには、放課後になると覚醒するらしく、朝のこの時間とは全然違って生き生きとした表情になるらしい。