「……いや、そう言われても、意味なんてないと思いますけど」

「ちょっと、何でそんなに冷静でいられるんだよ、悠真。少しは期待しろよ」


二人とは対照的に、ワクワクもドキドキもせずに淡々と答えた僕に、目を丸くして織原は驚いている。


「単純に、僕はチョコレートが苦手なんですよ。だから、チョコの代わりにキャンディを用意しただけだと思いますけど」

「夢ねーな。何でそこで期待をしようとしないのよ。俺だったらもう言っちゃうよ? 俺もお前の事が好き。付き合ってくれって、うん」


力説するように大きく頷きながら先生が言うけれど、内容はかなり薄いしめちゃめちゃ軽すぎる。


「ですよね? 悠真、もったいねーよ! ちゃんと考えた方がいいって」

「本人がハッキリ言葉にしたわけじゃないじゃん。憶測で物事考えるのは好きじゃない」

「おい、マジかよー。贈ってくれた子、めっちゃ可哀想」


先生にそう言われてもなー。

ルカは転校してきたばかりだし、100歩譲って僕にひとめ惚れをしたからと言って、転校して一週間もたたないうちに告白なんかしてくるわけがない。