「義理チョコ……じゃなくて、義理キャンディ? これからも絶対友達でいましょうって念押しされてる感がすごい」


ボトル入りのキャンディを見つめながら言うと、ルカが可笑しそうに笑う。


「毒入りみたいな目で見ないでくれる?」

「ゴメンゴメン」


ラッピングの袋にボトルキャンディを戻して、外したリボンと共にそっと大事にカバンに入れた。


「ちなみに、私もバレンタインに贈り物をするって、人生初めてだよ?」

「それ言われると、何か申し訳ない気持ちになるんだけど」


せっかくの人生初を僕相手に使ってしまうなんて、いいのか?

これから先、あげたいと思う人と出会うだろうし、こんなところで人生初を使わなくてもいいんじゃないか……。


「私が悠真君にあげたかったんだから、申し訳ないだなんて思わないでよ」

「……ルカがいいなら、それでいいけど。けど、友達相手に初めてを使うなんてもったいないな」

「もったいないだなんて言わないでよ。……ほら、そろそろ帰ろう?」


ルカはそう言って、僕の背中を押す。