「明日、楽しい報告待ってる」

「悠真もちゃんと報告しろよ? 白石さんからもらえるかもしれねーじゃん」


そんなわけないだろ。

僕はチョコが苦手なんだし。

適当にあしらって、織原と別れ、昇降口で靴を履き替える。

いつものように下校時間はにぎわっているけれど、どこか落ち着かない空気が漂っている。

緊張した顔つきをしながら男子に話しかけている女子の姿があるし、カバンを大事そうに抱えながらキョロキョロしている女子もいる。

漫画の世界に飛び込んだような、非日常の光景を目の当たりにしながら、僕はルカが待っているであろう裏庭へと向かった。


「あ、こっちこっち~」


裏庭へ行くと、僕の姿を見るなりルカが少しはしゃいだ様子でピョンピョンと跳ねながら手を振る。

仕方ないから、『劇団白石』に少し付き合うか。