よくあるのは、余命宣告されてる重い病気にかかっているから、最後は本人の好きなようにさせたいという事だけど……。

……さすがにないよな、こんなのは。

自分で思い浮かべた可能性を即切り捨てた。

話を切り上げて社会科教材室を後にし、ルカがいる図書室へと向かう。

図書室に入ると、カウンターに図書委員が一人座っているだけで、ルカの他に利用者の姿は全くない。

窓側の席で本を読んでいるルカの姿を見たら、前にどこかで見た事があるような、不思議な感覚に陥った。

横顔というか雰囲気というか。

初めて見るルカのその姿なのに、どうしてこう初めてじゃない感覚になるのだろう。


「あ、深澤先生の用事、終わったんだ?」


しばらくボーっと立ち尽くしていたら、僕に気が付いたルカが本を閉じて僕の元へと駆け寄ってきた。


「あ、ああ……」

「どうしたの、ボーっとしちゃって。深澤先生に怒られちゃった?」

「いや、そうじゃないけど」

「あ! 私の事、可愛いなって見惚れちゃってたとか?」


フフッとイタズラっぽく笑いながら言うルカに、不覚にもドキッとしてしまった。