他人事だと楽しんでいる先生にほんの少し殺意が湧く。


「正直、先生も僕のペース乱してますけど」

「俺は常にマイペースなだけ。人のペースに合わせてたら疲れちゃうし」

「それでよく、学校の先生なんかやろうと思いましたね」

「だって、ルールさえ破らなければ安定な職業じゃん? 大好きなバスケにだって関われるしさ」


真面目に高校教師をやっている全国の教員に謝れ。

ムッとした僕を見て、先生はコホンと咳払いをする。

「話を戻すけど、白石が俺のところに相談に来るわけないだろ。悠真に相談しない事を俺に相談しに来るか? まあ、俺も気をつけて見てはいるけど、今のところ目立った嫌がらせみたいなのはないし、ただ単に悠真がいるからいいんじゃないのかな?」

「いやいや、良くないと思うんですけど」


僕に責任があるみたいな言い方しないで欲しい。

この口ぶりだとおそらく三年に進級しても僕とルカは同じクラスになる確率は高い。

何なら、深澤先生が担任になる可能性も高そうだ。

けどだからって、いつまでもルカと常に一緒というわけにはいかない。


「俺はお前の事も気になってたからなー。織原もかなり崩してくれたみたいだけど、まだ足りないなって思ってたんだ。悠真の壁を崩す力」


深澤先生は、僕の事情を知っている。

なぜならこの人は、兄貴が亡くなった時、兄貴の担任だったから。

近親者のみで行なった葬式にもこの人は来たらしい。