織原は一度もその話題に触れてきていないが、絶対に知っているはず。

あえて聞いてこないのなら、僕から話す事もない。

そう思っていたのだが、女子の間ではまだその噂は有効だったようだ。

女子の間で、どう思われてようと別に何のダメージもないが、ルカはどう思っただろう。

友達やめるって言い出すかな?

それならそれでも構わない。

今までだって、ずっとそうしてきたんだから、今さら傷つくなんて事はない。

ルカだって転校早々、色眼鏡で見られたくないだろうし。

友達が増えなくなっても困るだろう。

だけどルカの返答は、僕が予想していたものとは全く違った。


「悠真君はそんな人じゃない。あなたはそれを悠真君に確かめたの?」

「……えっ?」


そんな返しがくるとは思っていなかったらしく、おそらく親切心から言ったであろう女子はかなり弱々しい声で反応した。

彼女だけではない。

動揺しているのは僕も同じ。

ルカって、一体何なんだ……?


「確かめもしないで、噂レベルで話したの? 名誉棄損で訴えられても文句言えないよ?」

「べ、別に私はそんなつもりじゃないし、私だってそう聞いたから……」

「だったら余計に人に話すような内容じゃないと思うんだけど。私、悠真君と友達になったから、直接聞いてみるね? あなたがこう言ってたけど、本当の話?って」

「や、やめて、言わないで」

「じゃあ、訂正してよ。友達の事を悪く言われて怒らない人っている?」