「悠真にとって、運命的な出会いになっちゃったとか?」

「何ですぐそういうのに結びつけたがるんだよ? 何度も言うけど成り行きだって言ってるだろ? そもそも運命的な出会いなんて、ゴロゴロその辺に転がってるわけないだろ」

「わかんねーじゃん」


朝から熱すぎて、若干鬱陶しい。

今が真冬で良かったと思うくらい、織原は熱量が凄い。


「織原の言う運命的って何だよ?」

「いやー、何だろうな。……よくあるのは、ほら。前世で恋人同士だったとか」


説得力、全くない。

漫画とかラノベとかから拾って来たようなネタに、僕はため息をつく。


「少しは現実を見ろ。運命的って言葉ほど信じられない物はない」


ハッキリとそう言うと、織原は返す言葉がなかったようで、苦笑するだけ。


「相変わらず現実主義だよなー、悠真は」

「夢見ても救われる事なんかないだろ」


そう言って、カバンを机の横にかけて僕は廊下に出る。

ロッカーのカギを開けて、一時間目の物理の教科書を取り出そうとした時だった。