見たところ歩き方は別に普通だし、腕だって特に違和感があるわけでもない。

……まあ、僕が気にする事じゃないけど。

住宅街から商店街に出ると、駅へと向かう人の流れができていて、ルカと僕もその流れに自然と飲み込まれる。

スーツ姿のサラリーマンやOLはもちろんの事、僕らのように制服姿の高校生が多い。

よく見れば多分、中学の時の同級生が必ずいるから、極力周りを見ない事にしている。

まあ、僕を見たとしても声をかけて来るような輩はいないだろうが。


「ね、悠真君の好きなお菓子って何?」

「は?」


ぼんやりと駅に向かって歩いていたら、隣から質問が飛んできて、ちょっとビックリした。

好きなお菓子って、急に何だよ?

そういう事を今まで聞かれた事なんてなかったから、戸惑ってしまう。


「チョコレートはダメなんでしょ? じゃあ、好きなお菓子は? 普段よく何食べる?」

「お菓子って言われてもな……」

「チョコじゃなければ大体食べられる系?」

「まあ……そうかも」


せっかく聞かれたけれど、まともに答えられる物じゃなかった。