「転校生が女子とか、めちゃめちゃテンション上がるな~」

「何で?」

「これが運命的な出会いになるかもしれないだろ?」


織原はグッと拳を作って力説する。

運命的な出会いね……。

そんな事言う奴、実際いるのかと思わずフッと鼻で笑ってしまった。

昨日までは、バレンタインに告白してくれる女子が今年はいるかもしれないとか、目を輝かせながら語っていたのに、今日はこれから来る、まだ見ぬ転校生に想いを馳せている織原。

気持ちの切り替えが忙しい奴だなと、小さくため息をついた。

持っていたスマホをブレザーのポケットにしまい、僕は頬杖をついて窓の外に目をやった。

今日もどんよりとした灰色の空が広がっているし、葉のない木々と合わせて見れば、寒さしか感じられない。

暖かくて色づいた春が来るにはまだ遠そう。