今日は、二月十日。

女子も男子も一年のうちで一大イベントと言えるだろう、バレンタインがすぐそこまで迫っていて、毎日のように校内のどこかで女子が雑誌やスマホを片手に、どんなチョコレートを作るのか楽しそうに話している姿が嫌でも目に入る状態。

今だって、転校生が来ると騒いでいるのは織原だけで、教室内にいる女子はいくつものグループに分かれてバレンタインの話で盛り上がっているようだった。

こんな状態の中、転校して来るなんて、よほどの事情があって早急に転校しなければならなかったのか?

高校一年生ならまだしも、僕らは二年生であり、すでに高校生活の醍醐味と言える修学旅行は終わってしまっているし、残っているのは進路決定の戦いが始まる一年間だけ。

高校生最後の文化祭や体育祭が残っているとはいえ、思い出作りもへったくれもないと思うのだが。

まあ人それぞれ事情はあるのだから、子どもである限り親の決定には従わなければならないけれども。