「悠真、イメージ変わったよな。メガネをやめた上に、鬱陶しい前髪をやっと切って、表情が明るくなったせいか、顔色もなんかいいし、めっちゃイケメンなんだけど」

「そんなに変わんないだろ。からかうなよ」


兄貴の命日から数日。

織原が登校するなり僕の元へ駆け寄って来て、べた褒めするから、どこかくすぐったいような変な気持ちになった。


「やっぱり、白石さんと運命的な出会い方をしたせい? 悠真を変えたのは白石さんなんだろ?」


ニヤニヤする織原を見ながら、僕は深いため息をつく。

白石琉花との出会いを、ただの『運命的』で片づけられるような物なのだろうか。

絶対に違うと思う。

だってこの出会いで、何人もの人生観が変わって、何人もの人が救われたのだから。


「ルカー。ここ、わかる?」

「ここは、この公式を当てはめればいいんだよ」

「そっか! ありがとう!」


数学の宿題でわからなかった部分を女子に聞かれ、丁寧に教えているルカを見て、僕は自然と笑みがこぼれた。